【INSPIRE】『ウィキッド 永遠の約束』レビュー|絶対に字幕版で観てほしい、最高のミュージカル映画。

『ウィキッド 永遠の約束』
前作の『ウィキッド ふたりの魔女』を観ていない。
だから、本当に迷った。
だけど、気になっていた。
続編が出るということは、前作がかなりいい作品だったに違いない。
そうでなければ続編を出すだけ赤字になるからだ。
失敗したくない。
でも、失敗するかもしれない。
これから観る人のために、私は人柱になろう。
そんな覚悟で観た。
結果、マジでよかった。
だから、とりあえずおすすめさせてほしい。
ミュージカルが苦手な私が、一瞬で引き込まれた
この作品はミュージカルだ。
正直に言う。私はミュージカルが苦手だった。
中学時代に劇団四季の『ラ・マンチャの男』を観て、爆睡した。
意味がわからなかった。
その後、自分が舞台役者をしていた時期にも、勉強のためにミュージカルを観た。
それでも面白さがわからなかった。
西洋のミュージカルを日本人が演じているのを観て、違和感があった。
明らかにトーマスじゃない日本人がトーマスを演じているような、あの感覚だ。
突然歌い始める文化が、自分には合わない。ずっとそう思っていた。
その既成概念が、最初の数分で吹き飛んだ。
グリンダ役のアリアナ・グランデ。
この人の演技に、一瞬で引き込まれた。目が離せない。
言葉もわからない歌なのに、引き込まれる。
JPOPしか聴かない自分が、気づいたら前のめりになっていた。
世界中でミュージカルが人気な理由が、やっとわかった気がした。
一人の人間から、これほどのエネルギーが発せられるとは思っていなかった。
上質な舞台を観ているような感覚に
全身緑の人。翼の生えた猿。
魔法の世界、ファンタジーの世界。
こういう世界観は、作り込めば作り込むほど嘘っぽくなりがちだ。
この作品も、どこかセット感がある。
広大な舞台の上で演技をしているような、そんな映像だ。
でも、悪い意味じゃない。
舞台を観たことがある人はわかると思う。
舞台上で表現できることは限られている。
セットはセット、嘘なのだ。
ドラマならシーンごとに場所を変えられる。
でも舞台ではできない。その空間をそうだと「見立てる」。
役者が観客に想像させる。
舞台上に何もなくても、海を見せることができる。山も、荒野も、渋滞さえも。
役者が本気でそこに生きたら、そう見える。それが舞台の力だ。
この作品はセットが変わるから、完全にそうとは言えない。
でも、どこか作り物だからこそ、役者の演技と熱量でそれを凌駕している。
良い舞台とは、役者が演技で成立させるエネルギーだと思っている。
この映画には、そのパワーがある。
絶対に字幕版で観てほしい
日本語吹き替えでの視聴はおすすめしない。
理由はシンプルだ。
本人の声と体が、この作品を成立させているからだ。
アニメの吹き替えならいい。声の表現力だけで勝負できるから。
でも実写の吹き替えは難しい。ミュージカルならなおさらだ。
グリンダの歌唱力を超えられるか。
セクシーさ、切なさ、可愛さ、そして圧倒的な熱量を。
日本人の中でも相当な技量を持つ声優が抜擢されるだろう。
でも、アリアナ・グランデ演じるグリンダを100%引き出せるのは、やはり本人だけだと思ってしまった。
正直に言うと、吹き替え版を実際に観たわけではない。
だから断言はできない。
それでもそう思ってしまうのは、きっとこの映画に魅了されてしまったからだろう。
日本のミュージカルについて、少し考えた
海外のミュージカル作品を超える日本のミュージカルを、観たことがない。
だからこそ、良質なミュージカルを観るなら海外のものだと思ってしまう。
なぜか。文化が違うからだ。音楽との接し方が、根本的に違う。
海外にはオペラがある。ヒップホップも、レゲエも、ゴスペルも。歌が生活に溶け込んでいる。日本にも歌の文化はある。短歌、和歌、和楽器、能、歌舞伎。豊かな表現の歴史がある。
ただ、それがミュージカルという形にまだ昇華されていない。
ディズニーを日本化しても、根底は海外の作品だからしっくりこない。
宝塚歌劇団も、2.5次元ミュージカルも、どこか既存の枠の中にある気がしてしまう。
でも、ここから進化する可能性はあると思っている。
上の句を歌って、下の句を返す。
そんな日本独自のミュージカルができたら面白いんじゃないか。
日本人は伝えない文化、察する文化だから、独白のように一人で歌う形がむしろしっくりくるかもしれない。
この映画を観ながら、そんなことを考えていた。
結論:絶対に観てほしい
デートで映画を観る人、ひとりで観る人、ミュージカルを観たことがない人、どうもミュージカルが苦手という人。
そんな人にこそ、一度観てもらいたい。
ミュージカル映画とはかくあるべき。そんな作品だ。
難しいことは何もない。役者の演技で観ている人を納得させる。それだけでいい。
それがこの映画にはある。
適当に選んだ映画で、こんなにも感情を揺さぶられるとは思っていなかった。
観て損はない。
これだけは約束する。
観る前に、前作を予習してほしい
前作『ウィキッド ふたりの魔女』はAmazon Prime Videoで配信中だ。
本作を観る前に予習しておくと、より楽しめると思う。
そして、できれば音にこだわってほしい。ミュージカル映画は音響で体験が全然変わる。私が使っているイヤホンをGEARで紹介しているので、気になる人はのぞいてみてほしい。







